こころとからだを繋ぐ
むずれひっぽ相談室
はじめに
むずれひっぽ相談室は、山形市ヒッポメンタルクリニック(2007~2019)のこころを継続するために、作られました。
「むずれ」とは、山形弁で、曲がれの意味で、「壁にぶつかったら曲がればいいよ、引き返せばいいよ」という意味です。
「むずれ」は、ヒッポメンタルクリニックの院長だった五十嵐善雄が、上山病院副院長時代に病院デイケアにつけた「むづれは」という名前から貰いました。
むずれひっぽ相談室では、その精神を受け継いで、一人ひとりの人生を生きやすくしてもらおうと、身体技法やアートセラピーなどの非言語療法を用いた相談を受け付けています。
こころは、言葉のみで構成されているわけではありません。それぞれの環境でそれぞれに起こるべくして起こる身体の動きや身体感覚などによって育つ神経システムを通して、独自の「私」という存在を作っていきます。
トラウマともいうべき大きなストレスなどの心の傷つき体験を被ると、その神経システムに混乱が生じ、その出来事を言葉で整理することに困難が生じます。また思考や感情や身体などがばらばらになった感覚を持つこともあります。そのため、そのような体験をした人は、言葉だけの心理療法によってこころの具合の悪さを調整することに大きな負担を感じ、治療からリタイアをしてしまうことになりがちです。また、幼い時のストレス体験であればあるほど改善に困難をきたします。速やかに、からだとこころを繋ぎさらに言葉を結んで、「からだ・こころ・ことば」を繋いで、健やかな心に向けて紡ぎ直す必要があるでしょう。
身体技法として、TFT(思考場療法)、Brain gym(ブレインジム)、臨床動作法、さらにはEMDR(Eye Movement Desensitization and Recovery)など様々な身体技法を用います。
さらに、必要な場合は、身体・身体感覚に働きかける表現アートセラピーなどを用いて、無意識へのアプローチを試みます。アートセラピーは、誰にもジャッジされることなく、評価されることのない、安定した場で行なわれ、プロセスを大事にされ、一人ひとりが尊重されている感覚を育てていくことを試みます。この感覚は、人生を生き抜くうえで大変重要な感覚です。
山形市ヒッポメンタルクリニック内にあった山形サイコセラピー研究会は「こころとからだを繋ぐ・ひっぽ心理臨床研究会」と名称を改めて活動を再開しています。
ひっぽ心理臨床研究会は、コメディカルなどの専門家が、人権を尊重し、人間を多重的かつ多面的な側面から見詰め直し、個々人の生きる苦しさなどに対処できる技術を身に着け、心理臨床現場で役に立てるようにという目的を持っています。
むずれひっぽ相談室は、ヒッポメンタルクリニックや山形サイコセラピー研究会の志ともいうべきものを引き継ぎ、土台にして活動することを試みています。